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science の意味は「科学」とは限らない【バリー・リンドン】

science

皆さんは science という英単語の意味を知ってますか?

「科学」に決まってるじゃないか、と思いますよね。

本日はそんな

science = 科学

という常識を打ち破る、science という言葉の意外な使い方を発見したのでそれをみなさんとシェアしたいと思います。

みつけたのはスタンリー・キューブリック監督の映画『バリー・リンドン』の以下のナレーション。

映画本編では1時間4分38秒のところです。

The Prussian Service was worse than the English.(中略)It was mostly composed of men from the lowest levels of humanity hired or stolen from every nation in Europe. Thus, Barry fell into the very worst of courses and company and was soon very far advanced in the science of every kind of misconduct.

プロイセン軍での兵役はイギリス軍以上に酷いものだった。(中略)兵のほとんどが、ヨーロッパ中から雇うなりさらうなりしてかき集められてきた最下層のゴロツキで構成されていた。つまりバリーは、この上ない最悪の成り行きを辿り、最悪の人間たちの中へ飛び込んでいったということになる。そして彼はすぐに、あらゆる不良行為に卓越したを身につけていった。

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「science = 技術・わざ」用法について

ここで使われてる science という単語、明らかに「科学」という意味ではなく、「技術」とか「ワザ」というような意味で使われていますよね。

英英辞書で science を調べてみると、何個目かの項目に

science = skill or technique

というのがあります。

science という言葉の使い方としては、かなり珍しい用例ですよね。

ちなみに、ここでバリーが身につけた「あらゆる非行行為に卓越した技」というのは、博打とかそのイカサマ行為とか、窃盗とか喧嘩などのことでしょうね。

バリーは映画の中盤で博打打ちになり、イカサマで貴族から金を巻き上げ、なかなか金を払わない客には決闘を申し込んで借金を取り立てる、といったようなことをやっていますが、きっとこの頃に身につけた技なんでしょう。

「science = 技術・わざ」は古い英語表現なのか?

さて、この『バリー・リンドン』という映画は18世紀のヨーロッパが舞台なので、この science の用法は古い英語表現なのかと思っていたのですが、気をつけていろいろ見ていると、現代でもたまにこういう使われ方をしていますね。

例えばこないだ『チアーズ(Cheers)』という80年代のドラマを見ていたら、こんなセリフがありました。

TVドラマ『チアーズ』S1E4より
Hit By Pitches. I perfected it when I was with the St Louis Browns.
I could get to first base on any pitch. What I’d do was, I’d get up there and lean my body into the pitch. Sometimes I took one right in the old melon. But I really made a science out of it. I became a master.
(デッドボールだよ。セントルイス・ブラウンズとの試合で確立したんだ。どんなボールからも一塁に出てみせる。こうするんだ、バッターボックスに立つだろ、こうやってボールにからだを傾ける。たまに頭に食らうこともあるけど。かなりの高等技術だよ。もう達人さ)

上のセリフは、元野球選手が、意図的にデッドボールを受けて一塁に出るコツを身につけた、ということを自慢しているところです。

こうしてみると、「技術」とか「ワザ」という意味で science を使う場合、単に腕が器用なだけじゃなくて、「長い経験と検証の果てに、体系的に身につけた高度な技術」といったニュアンスで使われている気がしますね。

ある意味、science(科学)の、ちょっと比喩的な用法と言えるのかもしれません。

あとがき

というわけで、本日は science のちょっと変わった使い方をご紹介しました。

あまり自分から使うことはなくても、たまーに映画やドラマで聴きますので、リスニング用に覚えておいて損はないと思います。

さて、ちなみにこれまでのバリーの遍歴をまとめてみますと、

決闘で相手を殺害し、逃亡の身に
 ↓
追い剥ぎにあい、一文無しに
 ↓
軍隊にはいり、略奪にあけくれる
 ↓
嫌気がさして逃亡
 ↓
プロイセン軍に捕らえられる
 ↓
素行不良のワルばかりの軍に強制入隊

こうしてみると、確かに冒頭に引用した文にあるように、バリーは最悪の道程をたどっていますね。

悪の science も身につくってもんです。

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