タランティーノの映画『パルプ・フィクション』のジュールスとヴィンセントの会話で英語を勉強するシリーズ第5弾。
今回は有名なハンバーガーの会話から、cornerstone と hit the spot の2つの英語表現をとりあげます。
全文を挙げていたら長くなってしまうので、それぞれのボキャブラリーが含まれた周辺のセリフをピンポイントで引用しますね。
英文の引用と和訳:ハンバーガーのくだり
まずはジュールスがブレットに話しかけるところ。
最初に貼った動画では0:54から
映画本編では始まって15分くらいのところです。
JULES : Looks like me and Vincent caught you boys at breakfast. Sorry about that. Whatcha havin’?
BRETT : Hamburgers.
JULES : Hamburgers! The cornerstone of any nutritious breakfast.ジュールス「どうやら俺とヴィンセントはキミたちの朝食中にお邪魔しちゃったようだね。申し訳ない。何を食べているんだい?」
ブレット「ハンバーガーです」
ジュールス「ハンバーガー! 栄養満点の朝食には欠かせないね」
本題に入る前に、こちらのボキャブラリーにも注目。
(英会話に使えそうなので覚えておきましょう)
catch someone at 〜 = (誰か)が〜をしているところにお邪魔する、(誰か)が〜をしているところを見つける
Whatcha havin’? = What are you having? = 何を食べているの?
cornerstone の意味とは
さて本題となるこちらの単語。
cornerstone = 隅石、礎石
これは建築用語で、建物の外壁の四隅に積まれる石を指すそうです。
建築物の補強を目的とし、ちょっと大きめの石が使われるとのこと。
これですね。
これが比喩的な用法で、cornerstone は「基本」「基盤」「肝心なもの」「基本理念」などの意味で使われるのだそうです。
このジュールスのセリフでは、The cornerstone of any nutritious breakfast といった風に、any 〜 という言葉を伴って使われているところに注目です。
つまり「栄養満点の朝食には欠かせないもの」というような意味で使われていますね。
参考までに、他の映画からも用例を挙げてみます。
映画『メッセージ』より
IAN : “Language is the foundation of civilization. It is the glue that holds a people together. It is the first weapon drawn in a conflict.” (中略)Yeah, it’s great. Even if it’s wrong.
LOUISE : It’s wrong?
IAN : Well, the cornerstone of civilization isn’t language, it’s science.イアン「“言語は文明の基盤である。人々を繋ぐ絆にもなれば、対立に際しては最初の武器ともなる”(中略)いやあ、素晴らしい。間違っているとはいえ」
ルイーズ「間違っている?」
イアン「ああ。文明の基盤となるものは言語じゃない、科学だ」
上の用例では、foundation(基礎、土台)と同じ意味のことを cornerstone という言葉に言い換えて使っています。
cornerstone は foundation と同じような意味で使える、ということが分かりますね。
英文の引用と和訳:スプライトのくだり
次に引用するのは、ジュールスがスプライトをもらうところ。
最初に貼った動画では2:33から。
映画本編では始まって16分50秒くらいのところです。
JULES : What’s in this?
BRETT : Sprite.
JULES : Sprite! Good. You mind if I have some of your tasty beverage to wash this down with?
BRETT : Go right ahead.Jules grabs the cup and takes a sip.
JULES : That hit the spot.
ジュールス「これは何?」
ブレット「スプライトです」
ジュールス「スプライト! いいねえ。喉を潤したいんで、おいしそうなドリンクをちょっといただいてもいいかな?」
ブレット「どうぞ」ジュールス、カップを手にとり、ひと口飲む。
ジュールス「最高だ」
本題に入る前に、これらのボキャブラリーにも注目。
(こちらも英会話に使えそうなので覚えておきましょう)
You mind if 〜 = do you mind if 〜 または would you mind if 〜 = 〜してもいいですか?
Go right ahead = よかったらどうぞ
hit the spot の意味とは
さてこちらの英熟語。
hit the spot = まさに今欲しいものである、もっていこいである、大変満足させる
文字通りには「特定の場所(spot)を突く」つまり「ツボを突く」みたいな意味ですね。
日本語で何かおもしろいものを見たときとか、タイミングよく欲しかったものが得られたときなどに「ツボだ」なんていう慣用句がありますが、雰囲気としては近いものがありますね。
砂漠でビールとか、コーヒーに煙草とか、寒い季節にラーメンとか、そういうタイミングよく欲しいものを味わったときに使えるようです。
同じタランティーノの映画からも用例をひとつ。
映画『ジャッキー・ブラウン』より
MELANIE : Wanna fuck?
LOUIS : YeahThree minutes later.
MELANIE : That was fun.
LOUIS : Yeah. Yeah, that really hit the spotメラニー「ヤル?」
ルイス「ああ」3分後。
メラニー「よかったわ」
ルイス「ああ。ああ。ホント最高だ」
あとがき
本日はタランティーノの映画『パルプ・フィクション』から、cornerstone と hit the spot の2つの英語表現をとりあげてみました。
このシーンはジュールスとヴィンセントの2人がオトシマエをつけにきたブレッドたちを、ハンバーガーについての雑談をするふりをして、真綿で首を絞めるようにおどす場面ですよね。
ブレッドたちを脅すため、ジュールスはわざと慇懃な言葉遣いをしているので、『パルプ ・フィクション』全体のなかでもとりわけ英会話の参考になる会話シーンだと思います。
お時間のある方はぜひこのシーンの会話をすべてマスターしてみてください。