ミュージカル映画『ロッキー・ホラー・ショー』で私が一番好きな曲が、『Over At The Frankenstein Place』と『Touch-A, Touch-A, Touch Me』の2曲です。
本日はその片方『Over At The Frankenstein Place(フランケンシュタインの屋敷に)』の歌詞をとりあげて、英語の解説をしてみたいと思います。
ただ、この曲は歌詞も少なく内容もシンプルなので、難しい英語表現はほとんど出てきません。
なので、もっぱら詩の解釈についての記事になります。
それではまず、英語の歌詞と私の和訳をご一読ください。
Over At The Frankenstein Place
フランケンシュタインの屋敷に[ジャネット]
黒々とした夜の
びろうどの暗闇で
炎えるような灯は
わたしたちを導いてくれてるお星さま
あれが何であろうと
あなたが誰であろうと構わない[Brad and Janet (Chorus)]
There’s a light
(Over at the Frankenstein Place)
There’s a light
(Burning in the fireplace)
There’s a light, light
In the darkness of everybody’s life[ブラッド&ジャネット(コーラス)]
あかりが見える
(フランケンシュタインの屋敷に)
あかりが見える
(暖炉の火だ)
あかりが、あかりが見える
ありきたりな日常の暗闇の中に[Riff Raff]
The darkness must go
Down the river of night’s dreaming
Flow morpheus slow
Let the sun and light come streaming
Into my life, into my life[リフ・ラフ]
闇は流れる
夜に見る夢の川を下って
モルペウスはゆるりとたゆたい
陽と光が流れくる
わたしの日常へ、わたしの日常へと[Brad and Janet (Chorus)]
There’s a light
(Over at the Frankenstein Place)
There’s a light
(Burning in the fireplace)
There’s a light, light
In the darkness of everybody’s life[ブラッド&ジャネット(コーラス)]
あかりが見える
(フランケンシュタインの屋敷に)
あかりが見える
(暖炉の火だ)
あかりが、あかりが見える
ありきたりな日常の暗闇の中に
In the velvet darkness
まずは最初の部分。
In the velvet darkness
Of the blackest night
Burning bright
There’s a guiding star
No matter what
Or who you are黒々とした夜の
びろうどの暗闇で
炎えるようなあかりが
わたしたちを導いてくれてるお星さま
あれが何であろうと
あなたが誰であろうと構わない
この曲、映画のストーリー上では、嵐の夜に道に迷って困っているブラッドとジャネットが、屋敷の暖炉の光を見つけて喜んでいる、という部分です。
『No matter what or who you are(あなたが何であろうと、誰であろうと構わない)』という一節は、「どんな人が住んでいる屋敷なのかはわからないけど、そんなこと関係ないわ。暖かそうな明かりがあるというだけで嬉しい」という気持ちが現れています。
ここはブラッドとジャネットを待っている運命を考えると、皮肉っぽいユーモアを感じますね。
描写として目覚ましいのは最初の「velvet darkness(びろうどの暗闇)」の部分。
ただ暗い夜というだけではなく、妖しい輝きがその奥に潜んでいるようなイメージを喚起させる表現ですね。
In the darkness of everybody’s life
どういう意味なのかわからず、ちょっと悩んだのがこちらの一節。
There’s a light, light
In the darkness of everybody’s lifeあかりが、あかりが見える
ありきたりな日常の暗闇の中に
「the darkness of everybody’s life」は直訳すると「皆の人生の暗闇」ですが、これだと意味が通りませんよね。
ヒントを求めてネットを検索してみたところ、こちらのページに、夜の闇は「ブラッドとジャネットの退屈でよどんだ日常」を、屋敷の灯は「フランクン・フルター博士の激しい欲望に堕落した世界」を表している、との解釈がありました。
つまり「the darkness of everybody’s life」とは「平凡な人の退屈な日常の暗闇」という意味で、ブラッドとジャネットが明かりに向かって歩いているということは、そんな退屈な日常から「激しい欲望と堕落に満ちた世界へ向かっている」ということのメタファーなのだと解釈できると思います。
Flow morpheus slow
Flow morpheus slow
モルペウスはゆるりとたゆたい
ここにでてくる「morpheus」とは、ギリシャ神話の夢の神様「モルペウス」のことだそうです。
モルペウスは人間に夢を誘発する力があるとされ、麻薬の「モルヒネ」の語源にもなった神様とのこと。
麻薬のような危険な夢の世界へゆっくり誘われている感じが出ていますね。
あとがきにかえて – ENTER AT YOUR OWN RISK!!
本日は、ほとんど英語の勉強にならなかったので、最後にこちらのフレーズをご紹介。
ブラッドとジャネットが屋敷へと足を踏み入れる直前、門のところにこんな看板が掲げられています。
ENTER AT YOUR OWN RISK!!
ここの「at one’s own risk」は「自分の責任において」という意味の英熟語です。
つまり「Enter at your own risk」は、「この先に足を踏み入れたら、どんな危険な目にあっても自己責任でお願いします。当方は一切の責任を負いません」という決まり文句ですね。
海外で知らないうちに危険な目に遭わないためにも、覚えておきましょう。