リーズルは電報配達人のロルフと恋仲で、マリアがやってきたその日の夜も、夕食の席を抜け出して庭で逢引をしています。
ここでふたりが歌う「Sixteen Going on Seventeen(もうすぐ17才)」がいいんですね。
この曲の歌詞と私の和訳を掲載します。
Sixteen Going on Seventeen
もうすぐ17才[Rolf]
You wait little girl on an empty stage
for fate to turn the light on
Your life little girl is an empty page
that men will want to write on[ロルフ]
お嬢さん、きみは誰もいないステージで
運命がスポットライトを照らしてくれるのを待っている
お嬢さん、きみの人生はまだ白紙の状態
今に男たちがその上に書き込みしたくてやってくるよYou are sixteen going on seventeen
Baby, It’s time to think
Better beware
Be canny and careful
Baby, you’re on the brinkきみは16、もうすぐ17
お嬢さん、そろそろ考えな
お利口さんになって
気をつけることだ
お嬢さん、お年頃なんだからYou are sixteen going on seventeen
Fellows will fall in line
Eager young lads and rogues and cats
Will offer you food and wineきみは16、もうすぐ17
男たちが列をなしてくるよ
必死な若者、ゴロツキ、ゲス野郎ども
ご馳走とワインを差し出してくるTotally unprepared are you
To face a world of men
Timid and shy and scared are you
Of things beyond your kinきみはまったく無防備で
男たちの世界に飛び込んで
臆病で内気で怯えるばかり
きみの理解を超えてるよYou need someone older and wiser telling you what to do
I am seventeen going on eighteen
I’ll take care of you!きみにはあれこれ言ってくれる年上で賢い誰かが必要だ
ぼくは17、もうすぐ18
ぼくが面倒みてやるよ![Liesl]
I am sixteen going on seventeen
I know that I’m naive
Fellows I meet may tell me I’m sweet
And willingly I believe[リーズル]
わたしは16、もうすぐ17
わたしがウブなのはわかってる
出会う男の人たちは可愛いねって言ってくれて
わたしはそれを信じたくなるのI am sixteen going on seventeen
Innocent as a rose
Bachelor dandy’s, drinkers of brandy’s
What do I know of those?わたしは16、もうすぐ17
バラのように世間知らずで
おしゃれな独身男性、ブランデー片手の酔っぱらい
そんな人たちのことなんて何ひとつ知りはしないTotally unprepared am I
To face a world of men
Timid and shy and scared am I
Of things beyond my kinわたしはまったく無防備で
男の人たちの世界に飛び込んで
臆病で内気で怯えるばかり
わたしの理解を超えてるわI need someone older and wiser telling me what to do
You are seventeen going on eighteen
I’ll depend on youわたしにはあれこれ言ってくれる年上で賢い誰かが必要ね
わたしは16、もうすぐ17
あなたについていくわ
理解を超えている beyond one’s ken
この中に出てくる、canny(利口な、慎重な)と ken(理解、視界)はどちらも北イングランドの古語「can(知る)」が語源だそうです。
助動詞の「can(〜できる)」や動詞の「know(知る)」なども同じ語源とのこと。
ken は、だいたい
beyond one’s ken = 〜の見識を超えている、理解を超えている
の形で使われる言葉なので、これでひとまとまりで覚えておくとよいでしょう。
同じ「崖っぷち」でも日本語とは意味が違う on the brink
brink は崖っぷち(瀬戸際)という意味で、「on the brink」で「崖っぷちにいる」いわゆる「何かの直前である」ことを表す言葉です。
日本語で「崖っぷち」というと「もう後がない」みたいなあまり良い意味ではありませんが、英語の on the brink は下記の例のようにむしろ良いことの直前にもよく使われますね。
映画『バートン・フィンク』より
My place is here right now. I feel I’m on the brink of success.
(私の今の居場所はここだ。成功まであと一歩のところなんだよ)
もちろん悪いことにも使われますが、それでも日本語の「崖っぷち」とはかなりニュアンスが違いますね。
映画『アバター』より
We’re on the brink of war and you’re supposed to be finding a diplomatic solution.
(戦争になるところなんだ、外交的な解決策を考えないと)
上記の例のように、何かのターニングポイントにさしかかったときによく使われる言葉です。
『サウンド・オブ・ミュージック』の曲「Sixteen Going on Seventeen(もうすぐ17才)」の場合は、少女と大人の女性との境目にある重要な時期、ということを表しているんですね。