マリアに引き連れられ、子供たちが夏休みを謳歌している最中、ゲオルクが友達のマックスおじさんと恋人のエルザを伴い帰ってきます。
その車の中での会話。
Elsa : The mountains are magnificent, Georg. Really magnificent!
Georg : I had them put up just for you, darling.
Elsa : Oh?
Max : Even if it’s to a height of 10,000 feet, Georg always believes in “rising to the occasion.”エルザ「山がきれいね。ゲオルク。本当にきれい」
ゲオルク「きみだけのために、あそこにかかげておいたのさ、ダーリン」
エルザ「あら?」
マックス「例え標高3千メートルあろうとも、ゲオルクは“やるときゃやる”男だよ」
rise to the occasion ヤルときゃヤル
日本語には「やるときゃやる」という言葉がありますが、私はこのシーンを見て、英語にもそういう表現があるんだ、と思いました。
rise to the occasion = やる時はやる
具体的には rise to the occasion とは、「困難や危機的状況、あるいは何か大事な局面がやってきたときに、普段は見せない底力を発揮する」といった感じの意味の言葉です。
文字どおりに解釈すると「機に応じて立ち上がる」ですね。
他の映画でも用例がありました。
映画『フィラデルフィア(1993)』より
They say that doesn’t prove anything because that was just a test. What’d they call it? A carrot? Yeah. “What’s up, Doc?” To see if he’d rise to the occasion.
(あれは単なるお試しだから、なんの意味もない。いわゆる、そうだな? ニンジン? ああ、『どったのセンセー?』みたいな。やるときゃヤル男かどうか、お手並み拝見、てことだ)
『サウンド・オブ・ミュージック』のこの場面では、直前のゲオルクのセリフ「高い山々をかかげる」に「rise(上がる、上昇する)」という言葉がシャレとしてかかっているわけですね。
言った直後に「それ以上つまらない冗談を言うようなら、帰ってもらうぞ(Unless the jokes improve, I’m taking back my invitation)」とゲオルグに言われてしまいますが。
〜することが正しいと思う believe in 〜
ちなみに「believe in 〜」は「Do you believe in God?(あなたは神を信じますか?)」みたいな使われ方をしているイメージがありますが、ここのシーンのように「〜に対して信念を持っている」「〜することが正しいと確信している」という感じの使われ方もよくあります。
この用法で思い出されるのはやはりこの映画のこのシーンです。
映画『レザボア・ドッグス』より
Mr. Pink: I don’t tip.
Eddie: You don’t tip?
Mr. Pink: I don’t believe in it.
Eddie: You don’t believe in tipping?ピンク「俺はチップはやらない」
エディ「チップをやらない?」
ピンク「間違ってるよ」
エディ「チップが間違ってるって?」
あとがき
おじさんたちの会話じゃなくて、本当は「ドレミの歌」で英語の勉強がしたかったところですが、誰にも歌って愛されるシンプルな曲なので、仕方ありませんね。