自由への扉(When Will My Life Begin?)の歌詞(和訳あり)で英語の勉強【塔の上のラプンツェル】

シェアする

本日はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』のオープニング曲ともいえる『自由への扉When Will My Life Begin?)』の歌詞で英語の勉強をしてみたいと思います。

この曲は中学・高校で習う英語の知識で直訳すると日本語にならない部分がいくつかあるので、英語の微妙なニュアンスをつかむ勉強にいいかもしれません。

それではまずは英語の歌詞と、私の和訳をご一読ください。

When Will My Life Begin?
自由への扉


7 AM, the usual morning lineup
Start on the chores and sweep ‘til the floor’s all clean
Polish and wax, do laundry, and mop and shine up
Sweep again, and by then it’s like 7:15

午前7時、毎朝の日課
まず家事から、床がキレイになるまで掃き掃除
ツヤ出しにワックスがけ、お洗濯、それからモップでピカピカに
もう一度ざっと掃いて、それでだいたい7時15分

And so I’ll read a book
Or maybe two or three

I’ll add a few new paintings to my gallery
I’ll play guitar and knit
And cook and basically
Just wonder when will my life begin?

それから読書をするの
二、三冊くらい読めちゃうかな
わたしのギャラリーに新しく数点、絵を描き加え
ギターを弾いて、編み物をして
それからお料理して、ぶっちゃけ
わたしの人生はいつになったら始まるのかしら?

Then after lunch it’s puzzles and darts and baking
Paper mache, a bit of ballet and chess
Pottery and ventriloquy, candle making
Then I’ll stretch, maybe sketch, take a climb
Sew a dress!

それで、昼食の後はパズルにダーツにお菓子作り
張り子制作にバレーを少々、それとチェス
陶芸に腹話術、ロウソク作り
それからストレッチして、スケッチとか、ロープ登りとか
ドレス作りも!

And I’ll reread the books
If I have time to spare
I’ll paint the walls some more
I’m sure there’s room somewhere
And then I’ll brush and brush
And brush and brush my hair
Stuck in the same place I’ve always been

それからまた読書して
まだ時間があったら
さらに壁に絵を描きたすの
きっとまだどこかに隙間があるはずよ
それからそれから、髪をとかして
とかして、とかして、とかして
いつもいるこの場所にこもったきり

And I’ll keep wondering and wondering
And wondering and wondering
When will my life begin?

そしてわたしはずっと考えて
考えて考えて、考え続けている
わたしの人生はいつ始まるのかしら?

And tomorrow night
Lights will appear
Just like they do on my birthday each year
What is it like
Out there where they glow?
Now that I’m older
Mother might just
Let me go…

そして明日の夜
明かりがともる
毎年かわらず、わたしの誕生日に
光っているあの場所は
どんな感じなのかな?
わたしはもう大きくなったし
お母さん、行かせて
くれるかな……




And so I’ll read a book or maybe two or three

まずはこの部分。
単純な文章ですが、ストレートに訳したら日本語にならない構造してますよね。

And so I’ll read a book
Or maybe two or three

read a book は「読書をする」と訳されるフレーズですが、英語は文法的に単数か複数を明示しないといけないので、a book という風に、読む本が1冊だけであることが表現されています。
それを受けて、2行目は or maybe two or three となっていますね。

なのでアタマを空っぽにして直訳すると「それから読書をするの。または、ことによると二、三冊」となるので、日本語として意味が通じなくなりますよね。

なので、ここは正確に訳すなら「それから1冊の本を読むの。または、ことによると二、三冊」と、いちいち「1冊の」をつけることになります。
日本語としてどうしてもブサイクな文章になりますね。

私は少しばかり意訳して「それから読書をするの。二、三冊くらい読めちゃうかな」としてみました。

日本語には複数・単数の概念がなく、こういう文章は英語で捉えないと意味がパッと頭に入ってこないので、英語脳を鍛えるのにもいいフレーズだと思います。

basically

この2行の中に入っている basically という単語に注目です。
basically という単語を理解するのになかなか有効な用例だと思います。

… and cook and basically
Just wonder when will my life begin?

basically という単語は basic(基本)の副詞形なので、日本語ではよく「基本的に」と訳されますよね。

basically = 基本的に、本来は

この basically という単語は「基本的に」よりは、日本語にすると「つまり」とか「要するに」とか「ざっくり言うと」みたいな言葉で訳した方がしっくりすることが多いですね。

例えば、この曲の歌詞は全体的に、ラプンツェルが毎日やっていることをひたすらズラズラ列挙する描写が大部分を占めていますよね。
それを受けて、「これらすべてを総括すると、要するに……」というニュアンスで basically が使われているんですね。

basically って、こんな風に、箇条書き的に物事を羅列して、それらをざっくりまとめると、こういうこと、みたいなときによく使われる表現です。

同じこの映画『塔の上のラプンツェル』の最後のナレーションにも出てきますね。

I started going by Eugene again, stopped thieving, basically turned it all around.
(俺は元どおりユージーンと呼ばれるようになった。盗みもやめた。つまり、ぜんぶが好転したってわけさ)

他の映画からも用例をひとつ。

GENERAL FENECH : In attendance at this joyous Germatic occasion will be Goebbels, Goring, Bormann, and most of the German High Command including all high ranking officers of both the SS and the Gestapo, as well as luminaries of the Nazi propaganda film industry.
LT. HICOX : The master race at play?
GENERAL FENECH : Basically, we have all our rotten eggs in one basket. The objective of Operation Kino, blow up the basket.

フェネク将軍「このめでたいゲルマン民族たちのイベントに出席するのは、ゲッベルス、ゲーリング、ボルマン、そしてナチス親衛隊やゲシュタポの高官たち全員に、ナチスのプロパガンダ映画産業のセレブたちを含めた、ドイツのお偉いさん方の主だった面々だ」
ヒコックス中尉「支配民族のご登場ですな」
フェネク将軍「つまり、腐った卵がぜんぶまとめてひとつのカゴにお揃いというわけだ。プレミア作戦の最終目標は、このカゴを吹き飛ばすこと」

映画『イングロリアス・バスターズ』より

上の用例なども、材料を列挙して、それを一言でいうと、みたいな意味で basically が使われていますよね。

もちろん文字通りに、何かひとつの出来事や行動があって、「その基本にあるのは」みたいな意味でもよく使われます。

「基本的には」と訳せる場合の用例もひとつ。

His technology’s not that different from ours. It’s basically we’re both using the same science.
(彼のテクノロジーは我々のものとそう違わないわ。基本的に、わたしたちは同じ科学を採用しているのよ)

映画『ゴーストバスターズ(2016)』より

上の用例は、最初に「そう違わない(少しは違う)」みたいな言い方をしていて、basically を伴って「基本的に同じ」という言い方をしていますよね。
根底にあるものは同じで、表面が少し違う、みたいなニュアンスですね。

この『自由への扉(When Will My Life Begin?)』の歌詞全体を basically を中心に要約すると、「わたしは読書をして絵を描いてギターを弾いて編み物をしてお料理をして、あれやこれややってるけど、その基本にあるのは、わたしはずっと同じ場所に閉じ込められてて、人生が止まっている状態で、退屈しているってことです」、ということを言っている歌詞ですよね。

この歌詞のおもしろいところは、ラプンツェルはいろいろなことにチャレンジしていて、最初はいかにも充実した毎日を送っているかのように見せておいて、その根底にあるのはまったく逆の状況だった、というところだといえます。

その状況を言い表すポイントとして、basically というボキャブラリーが効果的に使われているんですね。

ちなみに私は少し大胆に「ぶっちゃけ」と訳してみました。

… and cook and basically
Just wonder when will my life begin?

……それからお料理して、ぶっちゃけ
わたしの人生はいつになったら始まるのかしら?

room の意味は「部屋」とは限らない

I’ll paint the walls some more
I’m sure there’s room somewhere

さらに壁に絵を描きたすの

きっとまだ隙間があるはずよ

ここの room は「部屋」という意味ではなく、「余地」「スペース」みたいな意味ですね。

LARRY : Where would you like me to put it then, Piper?
PIPER : Up your ass.
LARRY : There’s no room. Apparently, my head’s already up there.

ラリー「これ、どこにしまっておいたらいい、パイパー?」
パイパー「あなたのケツの穴」
ラリー「もう空きがないよ。そこは俺の頭が入ってるだろ」

ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』S1E1より

room を「スペース」「余地」で使う場合は、概念としての用法なので、数えられませんから、冠詞が付いていないところが特徴ですね。

その他のボキャブラリー

lineup = ラインアップ、リスト

start on = 〜をし始める、〜に取り掛かる

chores = 家事、雑用

sweep = (ほうきなどで)掃く、掃き掃除をする

Polish = 磨く、ツヤを出す

by then = それまでには

and so = それから
and then と同じような意味。

Paper mache = 張り子、紙細工
パルプ紙を湿らせて型どりして色を塗った制作物

ventriloquy = 腹話術

stuck in = 詰まっている・引っかかっている・絡まっている・つかえている・缶詰状態などで、身動きできない、または取り除くことができない状態

What is it like? = どんな感じ?

glow = 光る、輝く
ひとつ前の『塔の上のラプンツェル』の回、「魔法の花(Healing Incantation)」の項で解説しました。

now that 〜 = 今や〜なので

あとがき

本日はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の『自由への扉When Will My Life Begin)』の歌詞で英語の勉強をしてみました。

この曲がオープニングに歌われることで、ストーリーの方向性が一発でわかるようになっていますね。
ラプンツェルという少女がストーリー上で探し求めてゆく“目的”が、この最初の歌で観客に知らされる仕組みになっています。

最近、知ったんですが、こういう曲をミュージカル用語で「“I Want” song」というらしいですね。
つまり主人公が最初の方のシーンで「私はこれが欲しい、こうなりたい(I Want …)」と歌うことで、映画の骨子をわかりやすく観客に伝える役割を果たす曲、というわけです。

有名な「“I Want” song」としては映画『サウンド・オブ・ミュージック』の『I have confidence(自信を持って)』だとか、『アナと雪の女王』の『For the First Time in Forever(生まれてはじめて)』、映画『マイ・フェア・レディ』の『Wouldn’t It Be Loverly(ああ、なんてしあわせ!)』など、他にも枚挙にいとまがないほど有名な曲があります。

次回の『ラプンツェル』の回は、そのラプンツェルの“I want”を妨げているモノを表現した歌、『Mother Knows Best(お母様はあなたの味方)』の歌詞を取り上げようと思います。

Stuck in the same place I’ve always been