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ラプンツェルとフリン・ライダーの会話で英語の勉強【塔の上のラプンツェル】

ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』で、主人公のラプンツェルとフリン・ライダー(本名:ユージーン)が初遭遇するシーンの会話はけっこう英語の勉強になる言葉が出てきますね。

次の歌にいく前に、本日の記事ではこのあたりのセリフをピックアップしてとりあげたいと思います。




gallivant 遊び歩く

まず、ライダーがラプンツェルに、この塔に迷いこんだ経緯を説明するセリフ。
映画本編では始まって26分39秒くらいのところからです。

Here’s the deal. I was in a situation, gallivanting through the forest, I came across your tower and… oh… oh, no!… where is my satchel!?
(こういうことだ。いろいろあって、森をさまよっていたら、お前の塔に出くわして……あっ……そうだ、ああ!……オレのカバンはどこだ!?)

ここに出てくる Here’s the deal という熟語。
deal は「取引」を意味する名詞で、交渉する場面などでよく出てくる単語ですね。
なので、Here’s the deal は、日本語でいうと「じゃあ、こうしましょう」みたいな意味になります。
ただ、ここでは交渉じゃなくて何かを説明する直前のまくらですから「こういうことだ」と訳しました。

in a situation は文字通りには「ある状況に立たされている」という意味で、とりわけ「ちょっと困った状況」みたいな場合に使われることが多い気がします。
ここでは私は「いろいろあって」と訳しました。

そして、私がこのシーンで初めて見た単語がこちら。

gallivant = 遊びまわる、遊び歩く

この単語は「目的もなく楽しみのために出歩く」みたいな意味の言葉だそうです。

調べてみたところ、この言葉とは別に gallant(勇敢な、婦人に親切な)という単語があって、この gallant から19世紀のはじめくらいに派生した言葉とのことです。

私はてっきり冒険物語『ガリバー旅行記』の主人公の名前 Gulliver(ガリバー)が語源だと思ってました。
「冒険する」→「遊び歩く」みたいなイメージで。
まあ覚え方としては悪くない関連付けだと思います。

さてこの後、ライダーはフライパンで叩かれてまた気絶します。

ラプンツェルがライダーに命令する場面の会話

ふたたび目覚めたライダーにラプンツェルは、灯りのところへ連れていけと命令します。
ここも英熟語がたくさん出てきますね。

映画本編では始まって28分25秒くらいのところからです。

RAPUNZEL : Take me to these lanterns, and return me home safely. Then, and only then, will I return your satchel to you. That is my deal.
RYDER : Yeah. No can do. Unfortunately, the kingdom and I aren’t exactly, simpatico, at the moment. So I won’t be taking you anywhere.

ラプンツェル「あの灯りまでわたしを連れていきなさい。それから無事にここまで送ってくるの。それまでは、あなたのカバンはあずかっておくわ。それが条件です」
ライダー「う〜ん。それは出来ない相談だな。やっかいなことに、このところ、王国とオレはお互い仲良しこよしの関係とは言えない感じでね。どこだろうと連れてってあげるってわけにはいかないんだよ」

then and only then

まず最初はこちらの熟語。

then and only then 〜 = そのときまでは決して〜しない

辞書でわざわざ調べなくても意味はわかりましたが、これも熟語なんですね。
文字通りには「そのときになれば〜する」ですが、日本語で理解するときはむしろ「そのときまで決して〜しない」のニュアンスで捉えておくといいと思います。
ちなみに私はラプンツェルの「… only then」の言い方が好きです。必死に高圧的な態度を装っている様子がかわいくて。

That is my deal

次はこちらの熟語。

That is my deal = それが条件だ

前項にも deal(取引、条件)という言葉が出てきましたが、こちらは意訳せずにそのまんま「条件」の意味での用法ですね。

no can do 他

お次はライダーのセリフから、いくつかボキャブラリーを紹介します。

no can do = そんなことはできない

no が主語になっているみたいな、おかしな構文ですね。
普通に No, I can’t とか I can’t do it みたいに言うよりちょっと強い感じの否定のようですね。

以下の3つのボキャブラリーにはここでのライダーの心理がよく表れています。

not exactly = 必ずしも〜ではない、ちょっと違う
simpatico = 馬が合う、気が合う(イタリア語)
at the moment = 今のところ、ちょうど今

ライダーは直前に泥棒を働いてきたので、それをストレートに言えないでいます。
そのもったいぶった感じがこれらの熟語によってうまく表現されていますね。

smolder とは?

ライダーはしぶしぶラプンツェルの提案に同意します。
映画本編では始まって29分35秒くらいのところからです。

RYDER : All right, listen, I didn’t want to have to do this, but you leave me no choice. Here comes the ‘smolder‘. … This is kind of an off day for me. This doesn’t normally happen. Fine, I’ll take you to see the lanterns.
RAPUNZEL : Really!? … Ooops.
RYDER : You broke my ‘smolder‘.

ライダー「わかったよ、いいか、やりたくないけどおまえが強引だからだぞ。と、ここでオレの“セクシールック”。……今日は休日みたいなもんだしな。普通はないことだぞ。いいよ、灯りまで連れてってやるよ」
ラプンツェル「ホントに!?……あっ、いけない」
ライダー「オレの“セクシールック”がぶち壊しだ」

ここに smolder という、一瞬よく意味がわからない単語が出てきますね。

まず、本来の smolder という単語の意味ですが、これは動詞で「いぶる」「くすぶる」みたいな意味です。
なので、名詞では「いぶり」「くすぶり」という意味になります。

しかしこのシーンのライダーのセリフは「いぶり」「くすぶり」では意味が通じませんね。

「くすぶり」というのは人間の感情を表現する場合にも使われるようです。
例えば「感情などが表面に表れないで内側にくすぶっている」みたいな場合です。

しかしこのシーンのライダーのセリフはそれもちょっと違うようです。

この smolder という単語、スラングで「魅力的でセクシーなキメ顔」みたいな意味で使われるそうなんですね。
つまり自分の感情がくすぶっているんじゃなくて、相手の胸をくすぶらせる(焦がす)みたいな方向性だといえますね。

urban dictionary によると、この映画『塔の上のラプンツェル』でライダーが開拓した新しい英語表現だそうです。

ただこの映画以前も、動詞としては「セクシーな女性がその魅力で男性の胸を焦がす」みたいな意味では使われていたそうです。

urban dictionary に掲載されていた動詞としての例文を転載します。

When Eva is in front of us, she smolders.
(エヴァを目の前にすると、悩殺されちゃうね)

あとがき

本日はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』はラプンツェルとフリン・ライダーの初対面シーンのセリフから、英語の勉強になりそうなボキャブラリーを解説しました。

それにしてもこの段階ではまだフリン・ライダーはケチな泥棒という感じのキャラクターですね。
私が初めてこの映画を見たとき、彼が最後にラプンツェルと結ばれるのはわかってましたから、「えっ、この男が」と違和感を覚えたのを記憶しています。
そんな違和感もストーリーが進んでキャラクターが成長してゆくにつれてどんどん取り払われていって、最後はすっかりお似合いのカップルに見えるからおもしろいものです。

次回の『ラプンツェル』の回はそんな二人の未だぎこちない門出(?)の歌からお送りいたします。

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